H.C.R.2021 ビジュアルデザイン
<作者コメント>
長野県小谷村が村制60周年を迎えた。
この地の自然風景に魅了され、四半世紀以上訪れている。1800メートルに位置する栂池自然園のミズバショウの群落や、北アルプス最大の池といわれる風吹大池などが有名だが、今回は魅力あれるブナの巨樹を訪れた。根本のあたりで幹が大きく5本に分かれていて、見る者を圧倒する。おそらく画面手前にもう1本の幹があったのだろうが、雷か強風の影響で朽ちてしまったものと思われる。しかし、そのダメージをかばうかのように、周囲の幹が力強く手を取り合って成長していく姿に、今我々を取り巻く福祉の環境を重ね合わせてみる。超高齢化社会を迎え、我々一人一人ができることを自問自答し、老若男女が手を取り合って福祉の輪を広げ、この社会を力強く乗り越えていこうではないか。
この巨大ブナの息吹が、そのように語っているような気がしてならない。自然を見つめることによって、見えてくる未来の姿がある。
<プロフィール>
林明輝(りんめいき)
1969年神奈川県生まれ。
日本の絶景を写真の力で世に問うことをモットーとし、第一線で作品発表を続ける写真家。
2005年、小学館の写真集「森の瞬間」で、国際野生写真協会主催のネイチャーフォトブックオブザイヤー最高賞を受賞。1998年の写真展『あまかざり』以来、写真展『故郷 OTARI 小さな谷の物語』までの来場者数は15万人を超える。
ドローン写真の第一人者として、本邦初のドローン写真集『空飛ぶ写真機』(平凡社2015年)を出版。最先端の技術を駆使し、デジカメの撮影から、RAW現像、プリントまでのノウハウを教授するプロフェッショナルとしても知られる。
2019年、三脚ブランドメーカーLEOFOTO社より、山岳・風景写真に特化したLS284C Linモデルをプロデュース。日本写真家協会会員。